【6月6日 AFP】ピーナツバターやパルメザンチーズ、パジャマなど約1400品目、およそ6.6トンの貨物を載せた欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)の欧州補給機(Automated Transfer VehicleATV)が5日、仏領ギアナ(French Guiana)のクールー(Kourou)基地から国際宇宙ステーション(International Space StationISS)に向けて打ち上げられた。

 今回の貨物は、ISSに滞在中の6人の宇宙飛行士たちに地球をたっぷり懐かしんでもらおうという意図で送られた、史上最多の貨物を詰め込んだ「特別配達便」だ。宇宙飛行士たちそれぞれが好きなものやリクエストしたもの、家族からのちょっとしたプレゼントを入れた箱も積んでいる。

 ESA傘下の欧州宇宙技術研究センター(European Space Research and Technology CentreESTEC)のATV貨物エンジニア、カースティン・マクドネル(Kerstin MacDonnell)氏はAFPに対し、「ATVは非常に小型だが、たくさんのものを入れることができる」と説明した。そのATVに積み込まれた各クルー宛てのパンを入れる専用ケースほどの大きさの箱には、バースデーカードや子供の描いた絵のほか、チューイングガムやビーフジャーキーなど宇宙飛行士らの好物が入れらている。

■プレゼントと同時に「おいしい」実験も

 乾貨物の積載量も2.5トンと過去最大だ。その中には日常的に必要なプリンター用紙、工具、歯ブラシや靴下のほか、軌道上にいる人間が必要とする最低エネルギーを調べるための実験として、フランス人有名シェフのアラン・デュカス(Alain Ducasse)氏が考案した特別食も積まれている。

 クールー基地の管制センターでは、先週ISSに到着したイタリア人宇宙飛行士、ルカ・パルミターノ(Luca Parmitano)氏が、「実験用のもの、個人に宛てたもの、それに食べ物も入っているんだ!届くのが楽しみだよ」と話す映像が公開された。

 貨物リストによると、向こう数か月間の食料としてISSのクルーたちに送られたのは、ラザニア、ビーフシチュー、メキシコ料理のファヒータ、ブロッコリーグラタン、ワッフル、ドライフルーツ、スクランブルエッグ、イチゴ、コーヒーなど。ケーキ用のアイシングも4色が揃えられた。

 ジェリービーンズやストロベリーヨーグルト、チョコレートバーなど、わずかな食品がそのまま輸送されるほかは、ほぼすべての食料が軍の装備としての基準に匹敵するフリーズドライや乾燥、熱処理などの方法で加工された。

 無重力の状態では、宇宙飛行士たちは缶やアルミニウムのパックからスプーンやフォークでそのまま食べることがほとんど。さもなければ、ランチは空中に飛び散ってしまう。(c)AFP/Mariette LE ROUX