【6月1日 AFP】トルコのイスタンブール(Istanbul)にあるタクシム広場(Taksim Square)で31日、広場そばの公園の取り壊し計画に反対する抗議集会から発展した反政府デモを解散させるため、機動隊が催涙ガスや放水砲を使用、この衝突により、数十人が重軽傷を負った。

 イスタンブール県のフセイン・アヴニ・ムトゥル(Huseyin Avni Mutlu)知事によると、最も重い傷を負ったのはモロッコ系トルコ人の女性で、頭蓋骨を骨折し脳外科手術を受けたが、集中治療室に収容され容体は良好だという。同知事はテレビ放送のコメントで、現在捜査が進行中で、「暴力行為を引き起こした」かどで63人が拘束されたと述べた。

 デモ隊は、広場の中心に立つアタチュルク(Ataturk)記念碑の向かいあるタクシム・ゲジ公園(Taksim Excursion Park)の取り壊し工事の阻止を求めていた。建設計画では、高度に商業化したイスタンブールに残る緑の「最後の砦」である公園の跡地にショッピングモールを建設し、オスマン帝国時代の兵舎を再建する予定だ。

 イスタンブールの裁判所は31日夜、計画の一時停止を命じたが、計画自体が中止されるかは定かではない。

 イスタンブール市のカディル・トプバシュ(Kadir Topbas)市長は、デモ参加者の多くは「純粋に緑や環境を気にかけている」人々だが、「政治的意図」を持つ者たちに操られていると語った。

 公園の取り壊しは、広場周辺を歩行者専用道路とするために昨年11月に始まった建設計画の一環だ。タクシム広場は、昔から集会やデモの場として使われてきた他、人気の観光スポットともなっている。

 賛否両論の同計画は、広場周辺の慢性的な交通渋滞の緩和と、外観の美化を目的としている。だが反対派は、計画は広場を魂のないコンクリート商業地域に変え、地元住民を追い出すものだと批判している。(c)AFP