【5月31日 AFP】2014年ソチ冬季五輪の関連予算のうち、最大3兆円相当をウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領や取り巻きの裕福な実業家らが使い込んだと批判する報告書を、ロシアの野党指導者、ボリス・ネムツォフ(Boris Nemtsov)氏が30日、公表した。

 ネムツォフ氏は故ボリス・エリツィン(Boris Yeltsin)大統領政権で第1副首相を務めた人物で、プーチン批判の急先鋒として知られる。

 同氏が反プーチン市民運動メンバーのレオニド・マルティニュク(Leonid Martynyuk)氏と共同で作成した報告書によると、ソチ冬季五輪の予算として計上された500億ドル(約5兆400億円)相当のうち、250億~300億ドル(約2兆5000億円~約3兆円)相当が使途不明金となっているという。

 報告書は、「ソチ冬季五輪は壮大な詐欺事件と化した」「五輪はプーチンの私的プロジェクトだ。資金を盗んだのが誰かは明らかだ――プーチンの取り巻きしかいない」と糾弾している。  

 ソチ五輪の予算総額は五輪史上最高の規模にまで膨れ上がっており、これにはプーチン大統領も不満を表明している。関係予算の用途は五輪会場の建設のほか、道路やホテルの改修から鉄道の新路線敷設、高速鉄道導入まで幅広いが、これらの開発計画のほとんどを国有企業か、政権に近い富豪が所有する大企業が受注している。(c)AFP/Dmitry ZAKS