【5月31日 AFP】シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領は、30日に放送されたインタビューの中で、ゴラン高原(Golan Heights)でイスラエルに対する新たな戦線を展開する可能性を示唆すると同時に、ロシアによるアサド政権に対する最新鋭ミサイル供与は確約されていると述べた。

 アサド大統領は、政府軍と共に反体制派と戦っているレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ(Hezbollah)系のテレビ局アルマナル(Al-Manar)が行ったインタビューで、「ゴラン(高原)での新たな抵抗戦線の展開への人びとの明らかな圧力が存在する」と述べた。また、「イスラエルが繰り返す侵略行為など、複数の要因がある」とした上で、「われわれと接触した全関係者に対し、今度イスラエルが侵略を行った場合、われわれはそれに応戦すると通達した」と述べた。

 アサド氏の今回の発言に対し、イスラエル側からの声明は出ていない。かつてシリアが領有していたゴラン高原は、1967年の第3次中東戦争でイスラエルが占領。以後その軍事境界線付近は、シリア内戦からの飛び火を除けば平穏を保っている。

 また同インタビューでは、ロシアが先に供与を約束していた高性能対空ミサイル「S300(S-300)」の一部がすでに届いていることを示唆するようなアサド大統領の発言もあった。アサド氏は「ロシアとの合意は全て履行されることになっており、その一部は最近に履行済みだ」と語った。ミサイル引き渡しが行われたとのロシア側からの発表は今のところない。

 一方米国は、ロシアがミサイルをシリアに供与すれば、シリア内の政権派と反体制派の紛争を長引かせるだけだとしている。活動家らによると、2011年3月に勃発した紛争による死者数は、9万4000人を超えている。(c)AFP/Rana Moussaoui