【5月21日 AFP】ミナミシロサイの赤ちゃん誕生は「希望の兆し」──シドニー(Sydney)の400キロ西のダボ(Dubbo)にあるタロンガ・ウエスタンプレーン動物園(Taronga Western Plains Zoo)では今月14日、ミナミシロサイのモパニ(Mopani)が初めての出産に成功した。アフリカで密猟が激化しているミナミシロサイの赤ちゃんが生まれたことを受け、動物園が21日にコメントした。赤ちゃんの名前はまだ付けられていない。

「ダボで数か月ぶりに降った雨が、赤ちゃんの誕生に力添えしたようだ。赤ちゃんは14日朝に係員が発見した」と、上級飼育員のパスカル・ブノア(Pascale Benoit)氏は語った。

 アフリカでは2006年以降、2000頭近くのサイが密猟されており、個体数の増加率はここ数十年で最低水準に落ち込んでいる。その中での赤ちゃんの誕生はどれも重要だと動物園関係者は述べる。

「過去半世紀で最悪のサイ密猟危機を食い止めようとするわれわれにとって、赤ちゃんは希望の兆しだ」と、タロンガ動物園の最高経営責任者、キャメロン・カー(Cameron Kerr)氏は語った。

 動物園のマット・フラー(Matt Fuller)園長によると、同園で2003年以降生まれたシロサイはこれで9頭目。だが、最近の密猟急増の中での誕生は「極めて特別」という。

「今年に入ってすでに300頭以上が殺されたと聞いている」とフラー氏は述べ、「これが続くようであれば近いうちに、おそらく2015年、16年ごろには、違法な密猟と狩猟による殺害個体数が野生で誕生する個体数を上回る分岐点に到達するだろう」と語った。

「それはサイを明白な一つの道へと導く──絶滅への道だ」

 同園のサイはミナミシロサイで、2種のシロサイのうち、絶滅の危険性はより低い。世界自然保護基金(WWF)によると、野生のミナミシロサイは推定で2万頭とみられている。(c)AFP