【5月20日 AFP】生命体が長期の宇宙旅行にどれだけ耐えられるかを調査するため、ロシアが1か月前に打ち上げた生物実験衛星「ビオンM(Bion-M)」が19日、地球に帰還した。ロシア科学アカデミー(Russian Academy of Sciences)の科学者らによると、乗せられていたネズミの大半が旅の途中で死んだという。

 科学者らによると、衛星に乗せられていた動植物のうち、ハツカネズミ45匹の大半と、スナネズミ8匹、イモリ15匹が、機器の不具合やストレスが原因で死んだ。だが、このミッションにより、有人火星飛行に道を開くことが期待されるデータがもたらされたという。

 同アカデミーのウラジーミル・シコフ(Vladimir Sychov)氏はロシアの通信社に対し、「動物が自分たちだけで宇宙にこれほど長く滞在したのは、これが初めてだ」と語った。「半分以下のハツカネズミしか生還できなかったが、予想されていたことだった。残念ながら、スナネズミは機器の不具合により全て死んだ」

 衛星にはこの他、カタツムリや植物、微小植物も乗せられていた。フランス国立宇宙研究センター(CNES)によると、実験で使われたハツカネズミのうち15匹は、ミッションに協力しているフランスの研究所が提供した。同センター関係者は、今回のプロジェクトは「無重力に人間を適応させるための、決定的な進展」となったと述べている。

 動物たちは5つの特殊容器に入れられ、宇宙に送られた。容器は軌道に到達すると自動的に開き、帰還時には閉じる仕組みになっていた。また衛星には、心拍数や血圧、放射線量など、あらゆるデータを計測する20以上の装置が搭載されていた。(c)AFP/Dmitry ZAKS