【5月16日 AFP】シリア反体制派の戦闘員が政府軍兵士の遺体から内臓を切り出して食べる様子を映したとされる動画が共有サイトのユーチューブ(YouTube)に投稿された問題で、反体制派の最大派閥である自由シリア軍(Free Syrian ArmyFSA)は15日、あらゆる残虐行為を厳罰に処すと言明する声明を発表した。

 FSAは、「シリア国民が血を流し自宅を失ってまで追求してきた価値に反する行為は、いかなるものも許容しない。残虐行為をはたらいた者は、たとえFSAに属する者であっても厳しく処罰する」と宣言。前線の各指揮官に対し、問題の戦闘員がFSAの所属かどうかも含め「直ちに調査するよう指示した。犯罪者は裁かれる」と述べた。

 一方、問題の映像に登場する戦闘員とされるハリド・ハマド(Khalid al-Hamad)氏は、米誌タイム(Time)のインタビューで、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の宗派であるイスラム教アラウィ派に対する憎悪をあらわにしつつ、自身の行為を正当化。遺体の政府軍兵士が持っていた携帯電話には、この兵士が全裸の女性と2人の娘を「辱める」映像が保存されており、それを見て怒りにかられて行ったものだと釈明している。

■アレッポの刑務所めぐり攻防、ネットは遮断

 シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると反体制派は16日、北部アレッポ(Aleppo)郊外にある中央刑務所を襲撃した。この刑務所には、イスラム主義者を含む4000人あまりが収容されており、反体制派は自動車爆弾で塀を破壊して内部に突入。これに対し政府軍は、戦車や戦闘機の支援を受けて反撃しており、激しい戦闘が展開されているという。

 また、シリア国内では同日、インターネット回線へのアクセスができなくなっている。シリアでネット回線が遮断されたのは今週に入って2回目。国営シリア・アラブ通信(SANA)は、光ファイバーケーブルの不具合が原因だと伝えている。(c)AFP