【5月16日 AFP】中国・山東(Shandong)省の青島(Qingdao)で14日開幕した自動車ショーの会場前で、伊高級車マセラティ(Maserati)のスーパーカーを所有する中国人男性が、代理店のサービスが気に食わないとして価格42万ドル(約4300万円)の高級車「マセラティ・クアトロポルテ(Maserati Quattroporte)」を雇った男4人にハンマーでたたき壊させる騒ぎがあった。中国紙・青島日報(Qingdao Morning Post)が15日に報じた。

 公開された動画には、マセラティ・オーナーの「王(Wang)」氏に雇われた男たちが嬉々としてフロントガラスやミラーを叩き割り、フロントグリルを壊し、車体をぼこぼこにする様子が映っている。破壊された車体には、マセラティ側の意思決定のあり方を批判する横断幕が掲げられている。

 報道によると王氏は、この車を2011年に260万元(約4320万円)で購入したという。これは、中国の都市部住民の2012年の平均所得の100倍に相当する。

 問題は、王氏が代理店に修理を依頼したときに発生した。王氏によると代理店はまだ使える部品も新品に交換し、その分の代金を請求してきたというのだ。その後もドアに問題が生じたり、車体に引っかき傷ができたりするたびに修理を依頼したが、きちんと直してもらえなかったという。

 「海外の高級車メーカーは、中国の顧客にもブランド名にふさわしいサービスを受ける権利があることをはっきり認識してほしい」と王氏は訴えている。

 この報道を受けてマセラティ中国支社は、AFPの取材に対し、顧客の苦情には適切に対応しており「このように突然、協議を打ち切った王氏の行動は残念」とのコメントを発表した。

 また青島の代理店も、中国版ツイッターと呼ばれるソーシャルサイト「新浪微博(Sina Weibo)」に「話し合いで解決できたのに。王氏が世間を騒がすために、世界的に有名な車を公衆の面前で破壊したことは、全く残念だ」などと書き込んだ。この代理店によると、王氏との間で問題が発生して以降、店舗には業務を妨害したり、店員や他の顧客を脅したりする集団が現れるようになっていたという。

 中国のインターネット・ユーザーの間では意見が分かれており、「権利擁護というより単なる見世物じゃないのか」などと王氏の動機を疑問視する声も出ている。(c)AFP