【5月13日 AFP】中国・上海(Shanghai)にある上海野生動物園(Shanghai Wild Animal Park)で前週、クマとサルが自転車に乗ってレースをする曲芸ショーの最中にクマがサルに襲いかかる事故の動画がインターネット上に投稿され、動物の扱いをめぐり施設には大きな批判が集まっている。

 6日にソーシャルサイトに投稿された1分半ほどの動画には、2匹が自転車から落ちた後、クマがサルにかみつき、飼育員が木の棒でクマをたたいて2匹を引き離す様子が捉えられていた。動物保護団体は「動物の習性に全く反したパフォーマンスをやらせている」「動物たちは話せないため、恐怖も痛みも訴えられず、不本意だという意思表示もできない」と批判のコメントを寄せた。

 しかし動物園側はAFPの取材に対し、問題の事故が5日に発生したことは認めたものの、けがもなく、2匹とも既にショーに復帰していると説明。「2匹は5年以上も組んでやっており、こんな事故は今回が初めてだ──自転車乗りパフォーマンスはサルとクマの習性に合っている。サルは木登りや人まねが得意だし、野生のクマはスタミナ自慢だ。ショーは、動物たちの健康をエクササイズによって維持しようという当動物園の取り組みだ」などと主張した。

■「子トラにまたがる観光客」

 中国では最近、絶滅が危惧されるアムールトラを育てている中国の動物園で、縄で縛られた子トラに観光客がまたがる画像がインターネット上に出回り、人々の激しい怒りを買っている。

 国営環球時報(Global Times)によると、中国東北部の吉林(Jilin)省にあるアムールトラ園で撮影された写真には、木製の机に縛りつけられた子トラに来園者たちがまたがって喜ぶ様子が写っていた。また、東部・浙江(Zhejiang)省にある別の動物園でも、ベンチに縛りつけられたトラにまたがった男性が、トラの背中の上で飛び跳ねたり、頭を叩いたりする動画がインターネットに投稿された。

 環球時報によると吉林省のトラ園は、虐待だと非難を受けた子トラは同園で飼育しているトラではなく、来園者向け動物ショーのために契約していた動物曲芸団のトラだと弁明。批判を受けて契約を解消し、団長から罰金5000元(約8万3000円)を徴収したと主張しているという。

■動物虐待に罰則なし、「人間がけだもの化している」との声も

 中国版ツイッターと呼ばれるソーシャルサイト「新浪微博(Sina Weibo)」には、「人間は徐々にけだものへと『進化』しているようだ」「人類の狂気は新たな段階に突入した」など怒りの声があふれている。

 中国には動物虐待を罰する法律がなく、動物園で来園者や飼育員が動物を虐待しても罰せられることはない。絶滅危惧種が狩猟用に飼われている例もあり、世界各地で密猟された野生動物の主要密輸先は中国だと言われている。(c)AFP