【5月10日 AFP】国連環境計画(United Nations Environment ProgrammeUNEP)の「親善大使」を務める中国の人気映画スター、リー・ビンビン(Li Bingbing)さんは8日、象牙の宝飾品や彫刻はアジアの一部で珍重されているが、それらはゾウの大虐殺によってもたらされたものであり、横行する密猟によってゾウが生存の危機に直面していることを人々は知るべきだと呼び掛けた。

 増加するゾウ殺害行為の撲滅と象牙の需要の削減を助けることを目的とした啓蒙(けいもう)活動の一環としてケニアを訪れているリーさんは、首都ナイロビ(Nairobi)から約300キロ北方にあるサンブル(Samburu)国立保護区で、野生のゾウを見学しながら「私はこのメッセージを広く伝えたい。こうした殺害は阻止するべきだ。美しい彫刻や宝飾品の陰には、血なまぐさい殺りくと密猟の危機が起きているのだから」と話した。

 リーさんは「アジアの消費者の多くは、象牙製品を買うことで、自分たちが野生動物の不正取引の一端を担っており、それが重大な結果を招くことになるのに気付いていない。現在の密猟の危機によって、ここケニアのゾウとサイの生存に関する大きな懸念が生じている」と語り、アジアの市民とビジネス界が象牙製品にノーと言うことで、アフリカでのゾウの違法な殺害を阻止するための重要な役割を演じることができると訴えた。また、象牙の売買は、アフリカの組織犯罪や武装集団の資金源に関連している場合が多いとも話した。

 UNEPによると、象牙は、急速に成長しているアジアの経済圏、特に中国での需要が最も高く、アジア向けの象牙の押収量は2009年以来倍増しているという。公式統計によると、2012年のケニアのゾウの全生息数は3万5000頭前後で、12年に密猟で殺害されたゾウの数は、11年の289頭から384頭に増加したという。今年は、すでに75頭以上が密猟者によって射殺されている。(c)AFP