【4月25日 AFP】イタリアのジョルジョ・ナポリターノ(Giorgio Napolitano)大統領は24日、中道左派のエンリコ・レッタ(Enrico Letta)氏(46)を新首相に指名した。同国では2月の総選挙後2か月も新政権を樹立できない状態が続いていたが、首相が指名されたことで、右派・中道・左派による連立政権が近く発足するとみられる。

 レッタ氏はローマ(Rome)の大統領官邸で正式な指名を受けた後、多くのイタリア人が経済危機に「苦しんでいる」と指摘。「重大で容認できない非常事態だ」と述べ、失業と企業の閉鎖、増加する貧困などの課題に取り組む姿勢を示した。

 政治取引や裏切り、空約束が続いていたイタリア国民の間では、3度の閣僚経験がありながら清新なイメージの人物が首相に指名されたことに安堵感が広がっている。レッタ氏は25日に各党と連立政権樹立に向けた協議を始める。協議は今週中にまとまるとみられている。

 レッタ氏は首相指名の場に国産のフィアット(Fiat)車を自ら運転して到着した。通常お抱え運転手を持つイタリア政治家の間では珍しい存在だ。

 レッタ氏は右派のシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)前首相の長年の右腕だったジャンニ・レッタ(Gianni Letta)のおい。先の総選挙で第3の勢力に躍進した「5つ星運動(M5S)」を率いる元コメディアン、ベッペ・グリッロ(Beppe Grillo)氏は、左派が汚い右派と手を結んだと批判した。5つ星運動は連立政権に参加しない方針を示した。(c)AFP/Ella Ide