【4月25日 AFP】(一部更新、写真追加)内戦が3年目に突入しているシリアで24日、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産に登録されている北部アレッポ(Aleppo)の旧市街を象徴するウマイヤド・モスク(Umayyad Mosque)のミナレット(アラビア語の原義で「光の塔」)が、戦闘によって破壊された。シリア国営メディアと監視団体がそれぞれ発表した。政府と反体制派は、互いに相手に責任があると主張している。

 8世紀に建てられ、一旦破壊された後13世紀に再建されたウマイヤド・モスクは、考古学上の至宝とみなされてきた。しかし、昨年7月から繰り返しバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の政府軍と反体制派との激しい攻防の中心的舞台となり、甚大な被害を受けていた。

 両勢力による奪還が繰り返された後、最近になって反体制派がモスクを制圧していたが、建物は多数の弾丸跡やすすの染みなどで覆われてしまっている。歴史的な調度品や入り組んだ彫刻が施された列柱は焼け焦げ、預言者ムハンマド(Mohammed)の髪の毛が入っていると言われている箱を含むイスラム教の遺物が略奪された。

 ミナレットの破壊が伝えられた24日、活動家らは同地で撮影した動画をインターネット上に投稿したが、塔の倒壊を招いた爆破の瞬間を捉えた映像は今のところ出回っていない。

 国営メディアは反体制派イスラム武装組織「アルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)」がミナレットを爆破したと伝え、政府側部隊にその責任をなすりつけようとしているとして同組織を非難した。

 一方、反体制派と活動家らは、すべて政府軍の仕業だとしている。ザイン・リファイ(Zain al-Rifai)と名乗る活動家は、政府軍戦車が「ミナレットを含むウマイヤド・モスクに数発の砲撃を加えた」のを見たと語った。また、反体制側がモスクを奪還する前に政府軍が埋めた地雷が、砲撃によって爆発した可能性があるともしている。アルヌスラ戦線がミナレットを爆破したとする政府軍の主張について同氏は、「イスラム教グループがミナレットを爆破するはずはない」と語った。(c)AFP