【4月24日 AFP】無人機を使用した戦闘の増加を受け、ロボットが自ら人間を殺害する決定を下せるようにもなり得るとの懸念が高まる中、米ニューヨーク(New York)に本拠を置く国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights WatchHRW)は23日、「ターミネーターのような殺人ロボット」の禁止に向けたキャンペーンを英ロンドン(London)で開始した。

 HRWは、たとえ一国の軍でもこうした機械を採用すれば、「ロボット軍備拡張」が世界に広がる可能性があると警告。各国の非政府組織などと協力し、「人工知能を持った兵器が開発される前に、先制的かつ包括的に禁止する」国際条約を成立させるよう呼びかけるという。

 キャンペーンの開始にあたりロンドンの国会議事堂前で自作の「殺人ロボット」人形を披露したHRW武器局のスティーブ・グース(Steve Goose)局長は、「人間が介在することなく標的を定め殺害できるような殺傷能力のあるロボットは決して製造されるべきではない」と話し、「戦場で下される決断には、必ず人間が関与していなければならない」と述べた。

 このキャンペーンには、対人地雷やクラスター爆弾、失明をもたらすレーザー兵器の禁止など、これまでに成功を収めた活動に参加してきた複数の非政府組織が参加している。

 米国はこれまでに、パキスタンやアフガニスタン、イエメンなどの国で攻撃や偵察を行う無人飛行機をはじめとする軍事用ロボットの開発を主導してきた。英国の非営利団体「調査報道局(Bureau of Investigative JournalismBIJ)」によると、米中央情報局(CIA)が2004年以降にパキスタンで行った無人機による攻撃では3587人が死亡。そのうち、多ければ884人が民間人だとみられている。

 ただし、無人機は地上の基地にいる人間によってコントロールされており、人間の承認なしで人を殺すことはできない。(c)AFP/Danny KEMP