【4月23日 AFP】パプアニューギニアで武装した男らに集団で性的暴行を受けた米国の女性研究者(32)が、同国における女性への暴力に警鐘を鳴らすために、自らの身に起きたことを公表したいと語っている──。

 パプアニューギニアでは1週間ほど前、男の集団によりオーストラリア人が殺害され、その友人が性的暴行を受ける事件があったばかり。また「魔術」に関連して公開処刑などの残虐な犯罪が相次いでいることから、国連(UN)も非難を表明しているため、同国の観光地や投資先としての地位は低下している。

■鳥類調査中、武装した9人の男に襲われる

 米国の研究者がAFPに語った最新の事件は、19日に起きた。被害に遭った女性研究者は、鳥類と気候変動が鳥類に及ぼす影響についてカルカル(Karkar)島の人里離れた森林で調査をしていた。

 事件当日、女性研究者は、夫とガイドと3人で獣道を歩いていたところ、ライフルとナイフで武装した男ら9人が現れた。男たちはまず、夫とガイドを裸にした上で縛って拘束した。そして今度は女性研究者の衣類を剥いで手を縛り、後頭部の長い髪を切り落とした後、約20分間にわたり集団で性的暴行を加えたという。そのうち男たちは何かしらの「気配」を森の奥から感じた様子をみせ、突然逃げ出し、その隙に、3人も裸のまま数時間かけて一番近い村に逃げ込んだ。

 20日にポートモレスビーに戻った夫婦は、そこで出会ったAFPカメラマンの協力の下、警察に事件を告訴し、パプアニューギニアを出国する手続きを済ませた。この事件は米国大使館にも報告された。

 首都ポートモレスビー(Port Moresby)の警察当局も21日、襲撃があったことを確認した。警察広報はAFPの取材に「供述書はとっているが、逮捕はまだ行われていない。これは極めて深刻な事件だ」と語った。

■「パプアニューギニアの女性が立ち上がるために」

 家庭内暴力(DV)を含む女性への暴力はパプアニューギニアに「風土病」のようにはびこっている。だが、白人女性が標的とされることは少なく、女性研究者は自分の身に起きた出来事を通じて、この問題を明るみに出したいと語った。

 被害に遭った女性研究者は「私が白人だからという理由だけで、この出来事が話題となるべきではない」と語り、「パプアニューギニアの女性たち(自ら)が立ち上がり、女性に対する暴力をこの国から追放しようと希望を持てるよう、話題に取り上げて欲しい。私の身に起きたことが、何かの変化をもたらすことができればと願います」と続けた。(c)AFP/Ness Kerton