【4月21日 AFP】中国では18日、習近平(Xi Jinping)国家主席が北京でタクシーに乗ったとする報道がインターネット上であっという間に広まったが、中国当局は同日中にこの報道を強く否定した。

 香港紙・大公報(Takungpao)は18日、今年3月1日に習主席が北京で、護衛官を伴わずに付き添い1人だけを連れてタクシーに乗り、ホテルへ向かったと報じていた。さらに報道では、タクシーの中で習主席が運転手と雑談し、中国の大気汚染について話した後に運転手から「習主席に似ていると言われたことはありませんか?」と聞かれ、「わたしだと気付いたのはあなたが初めてだ」と答えたとも伝えられていた。さらに料金は27元(約430円)だったが、習主席は30元(約480円)を渡し、釣りは取っておくよう運転手に言ったとも報じられていた。

 中国では一党独裁の共産党の幹部は市民の日常生活とはかけ離れており、護衛に囲まれていてこうした庶民的な移動をすることはまったくないと思われているため、この話題は大きなニュースとなり、「普通」であろうと努める習主席に称賛の声があがった。さらにニュースは英米のメディアも駆け巡り、インターネット上には運転手の氏名と顔写真まで出回った。

 しかし、大きな好感を呼んだにもかかわらず、中国国営新華社(Xinhua)通信は同日中に「虚偽」の報道だとして、強力に否定する声明を発表した。大公報も自社の「怠慢による誤報を遺憾とし、深く謝罪する」との声明を発表している。

 悪名高い中国の検閲機関もこの日はフル稼働だった。同日、「近平」や「タクシー」といった言葉を使用した検索は遮断され、関連記事は削除されていた。(c)AFP