【4月2日 AFP】カメレオンは約6500万年前、波に乗って、現在のアフリカ大陸からマダガスカル島(Madagascar Island)へ渡ったとする説が先月27日、発表された。

 カメレオンといえば、種によっては体色を変えることができる類まれな能力や、舌を使って光のような速さで獲物を捕らえる能力がよく知られている。しかし生物学者たちは長年、もっと大きな問いに頭を悩ませてきた。カメレオンは一体、どこから来たのか?という問いだ。

 現存する195種のカメレオンの大半はアフリカかマダガスカル島に生息している。どちらも約1億2000万年前に分裂したといわれる超大陸ゴンドワナ(Gondwana)の一部だったとされる。この分裂を通じ、アフリカ大陸とマダガスカル島は海によって隔てられ、今日両者は400キロ離れている。

 化石証拠で最初のカメレオンが登場するのは、時期ではこの大陸分裂の後だけだが、「どこが最初か」については長年論争の的となってきた。

■カメレオンは「いかだ」でアフリカからマダガスカルまで移動か

 今回の新たな研究は、カメレオン174種の遺伝学的分析に基づき、カメレオンはアフリカからマダガスカルへ移動したと主張している。カメレオンたちが、洪水によってアフリカの大河から押し流されたがれきに「いかだ」のように乗って移動したとする説だ。

 論文の主著者である南アフリカ国立生物多様性研究所(South African National Biodiversity Institute)のクリスタル・トリー(Krystal Tolley)氏によると、アフリカとマダガスカルに生息するさまざまな種類のカメレオンが分岐した時期を推算したところ、分岐が最初に起きたのはおそらく約6500万年前の白亜紀後期で、その後、約4500万年前の漸新世にも起きたようだと突き止めた。これらの時期、海流は現在とは逆で、アフリカからマダガスカルに向かって流れていたという。

 「いかだ」のように浮いているものに乗って、動植物が何百キロも離れた場所に分散することは珍しいが、知られていない例ではないという。トリー氏は「難しい旅なのでそう頻繁には起きないし、海流の方向が正しいことも必要だ。カメレオンがそうした状況に恵まれたのは数度しかなかったのではないか。また、アフリカとマダガスカル間でそうした状況が起きたのはその二つの時期だけだったと考える」と述べた。(c)AFP