【3月21日 AFP】ロシアの名門ボリショイ・バレエ団(Bolshoi Ballet)は、バレリーナたちにパトロンの富豪たちと「寝る」ことを強要していた――。かつて同バレエ団のプリマ・バレリーナだったアナスタシア・ボロチコワ(Anastasia Volochkova)さんが17日、露メディアで暴露した。同バレエ団のアナトリー・イクサノフ(Anatoly Iksanov)総裁は「たわ言だ」と述べて否定している。

 ボロチコワさんは「太りすぎている」との理由で2003年にボリショイを解雇された後、積極的にボリショイ批判を続けている。

 17日に露テレビ局のトークショーでこの暴露話を披露したボロチコワさんは、続いて露ラジオ局Russian News Serviceの番組でも主張を繰り返し、「セックスを強いられたのは主にコール・ド・バレエ(群舞を踊るダンサー)だったが、ソリストも例外ではなかった」と発言。「悲しいことに、あのボリショイ総裁はバレエ団を巨大な売春宿におとしめてしまった」と、イクサノフ総裁を痛烈に批判した。 「10年前、まだボリショイのバレリーナだった頃、私は権力者たちとベッドを共にするようバレエ団から何度も説得されました」(ボロチコワさん)

 ボロチコワさんによると、バレリーナたちはパトロンとのディナーパーティーへの出席を強制され、食事の後にはセックスサービスを提供する段取りになっていると前もって説明を受けていたという。 「バレリーナたちが、もしセックスを断ったらどうなるのかと尋ねたら、『それなら君を公演に帯同しない。ことによっては二度とボリショイの舞台には立てなくなるよ』と脅されたんです。こんなこと、想像できますか?」(ボロチコワさん)

 一方、ボリショイ劇場での19日の記者会見でボロチコワさんの批判について意見を求められたイクサノフ総裁は、「そんなたわ言にはコメントしない」と一蹴した。

 ボリショイ・バレエ団は現在、セルゲイ・フィーリン(Sergei Filin)芸術監督が顔に酸性の液体をかけられ、同バレエ団の上級ソリスト、パーベル・ドミトリチェンコ(Pavel Dmitrichenko)容疑者が実行犯に襲撃を命じたとして逮捕されるという前代未聞のスキャンダルのさなかにある。

 前週にはボリショイ関係者300人以上が、ドミトリチェンコ容疑者にフィーリン氏襲撃指示は不可能であり自白は強要されたものだとする公開質問状に署名し、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領宛てに提出している。(c)AFP