【3月23日 AFP】ニュージーランド人が朝食のトーストに塗って食べる塩辛くて黒いペースト状の食品「マーマイト(Marmite)」が20日、1年以上ぶりに同国各地のスーパーマーケットの店頭にずらりと並んだ。
 
 同国では、2011年2月に発生したクライストチャーチ(Christchurch)地震により、国内唯一のマーマイト工場が生産を停止。以降続いていた品薄状態は、「マルマゲドン(Marmageddon)」と呼ばれるようになった。工場は2012年半ばに稼働を再開する予定だったが、作業は遅れ、ジョン・キー(John Key)首相を含む多くの人たちが不満を口にしていた。

  嫌いな人からは「塩を加えた車軸グリース」に例えられることもあるマーマイト。店舗での入手が困難になったことで、消費者らはインターネットのオークションサイトでその味を求めるようになり、1個当たり80ニュージーランドドル(約6300円)の値が付いたこともあった。

 生産元の食品会社サニタリウム(Sanitarium)は、工場がようやく操業を再開し、商品の出荷が可能になったと発表。交流サイトのフェイスブック(Facebook)の公式ページで、「『ブラックゴールド』の帰りをパニックにならずに忍耐強く待ってくれてありがとう。復活を祝いましょう!」とコメントした。

 首都ウェリントン(Wellington)のスーパーマーケットでは、マーマイトが飛ぶように売れ、1人あたりの購入数を2個までに制限した。買い物客の1人はAFPに対し、「とても嬉しい。代わりになりそうなものをいくつか試したけれど、やっぱりマーマイトとは違った。これまでトーストにはジャムやピーナツバターを塗るしかなかった」と話した。

 ニュージーランドのマーマイトは、オーストラリアの「ベジマイト(Vegemite)」や英国のマーマイトとは味が微妙に異なる。(c)AFP