【3月18日 AFP】英ロンドン(London)、キングズ・カレッジ病院(King's College Hospital)の肝臓移植手術チームが15日、摘出された臓器を体外で機能させ、「温かいまま」の状態に維持する革新的な手法による肝臓移植手術を2例行い、成功したと発表した。手術チームは、移植することのできる臓器の数を飛躍的に増やすことができる手法だと述べている。

 現在の一般的な手法では、ドナーの臓器は移植を待つ間、代謝を抑制するために冷却保存される。だがこれが臓器の損傷をもたらしており、年間2000個以上の肝臓が酸素欠乏による損傷などで廃棄されているという。

 今回用いられた新技術は、オックスフォード大学(Oxford University)で20年以上をかけて開発されたもので、肝臓の毛細血管に赤血球をめぐらせ続けることで肝臓を「温かい」状態に保つ。摘出された肝臓を機材に設置すると、肝臓は体内にあったときと同様に機能し始め、冷たく灰色だった肝臓は色と温度を取り戻し、胆汁を生産し始めるという。

 この技術はまだ初期段階で、キングス・カレッジ病院で先月、2例の手術が成功したばかりだが、肝臓移植手術の大転換になるかもしれないと期待が寄せられている。(c)AFP