【3月14日 AFP】好きなだけ菓子類などを食べることのできる環境で、1日5時間しか睡眠時間をとらずにいると、食事量が増えるとの研究結果が11日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に掲載された。

 そのような環境に置かれた被験者は1キロほど体重が増加することを、研究チームは発見した。論文によると、長時間起床していることでエネルギー消費量は増えるが、エネルギー消費量の増加分以上に摂取カロリー量が増えていた。

 研究を主導した米コロラド大学ボルダー校(University of Colorado at Boulder)の睡眠・時間生物学研究所(Sleep and Chronobiology Laboratory)のケネス・ライト(Kenneth Wright)所長は「睡眠時間を減らすこと自体で体重が増えることはない。だが、睡眠が不十分だと、人々は必要以上に食べる傾向があった」と説明した。

 また男性は適切な睡眠時間をとった場合でも、好きなだけ食べることができる環境に置かれると体重が増えていたが、女性は「適切な」睡眠時間をとっている場合にはそのような環境に置かれても体重が増えなかった。

■短時間睡眠、エネルギー消費をカロリー摂取が上回る

 研究は、若くて太っていない健康な男女16人を対象に行われた。被験者は2つのグループに分かれて2週間にわたり、「スイートルーム」のような睡眠用特別室があるコロラド大学病院に滞在。一方のグループは5日間にわたって1日5時間だけ睡眠をとり、もう一方のグループは1日9時間の睡眠をとった。5日間の実験が終わると、グループの睡眠時間を反対にしてもう5日間、実験を行った。

 両方のグループには通常より多い食事が提供され、アイスクリームやポテトチップといった菓子類と、フルーツやヨーグルトなど健康的な食品のどちらも好きなだけ食べられる環境が与えられた。また、被験者の酸素吸入量と二酸化炭素排出量、さらにエネルギー消費を測定した。

 結果、1日5時間睡眠だった被験者は、9時間睡眠した被験者と比べてエネルギー消費量が5%多かったものの、摂取カロリー量も6%増えていた。

 傾向として睡眠時間が少ないグループは、朝食で食べる量が少なかったが、夕食後にスナックの「どか食い」をしており、こうした夜間に摂取したカロリーは、朝昼晩の各食事でのカロリー摂取分を超えていた。(c)AFP