【3月12日 AFP】欧州連合(EU)域内で11日から、動物実験を用いて開発された化粧品の販売が全面禁止となった。EUでは1990年代以降、動物実験が段階的に取り締まられ、2009年には対象化粧品のほとんどが販売を禁じられたが、幾つかの毒性試験が例外となったままだった。

 11日に発効した禁止措置は、製造元がEU域外の製品も含め、すべての化粧品に適用される。

 欧州委員会は声明で、販売禁止の影響を十分に評価した上で、全面禁止を施行すべき決定的な理由があるとの判断に至ったと述べるとともに、全面禁止措置は「『化粧品開発は動物実験を行う正当な理由とはならない』という、多くの欧州市民の固い信念に沿ったものだ」と加えた。

 またトニオ・ボルジ(Tonio Borg)欧州委員(保健・消費者政策担当)は、EUは動物実験の「代替法の開発支援を続け、EUの方針に追随する国と引き続き協力していく」と述べた。
 
 化粧品大手、資生堂(Shiseido)は今月、社内外での動物実験を廃止する方針を明らかにした。ただし、既に市場に出回っている製品の安全性を証明する際、動物実験が唯一の方法である場合は例外としている。

 資生堂は2011年に自社の研究所での動物実験を廃止しているが、今後はこれに加え、動物実験に頼る企業との原料取引や、外部の研究所への実験委託も行わない方針だ。同社によると、製品の安全性は、過去の実験で得られたデータや、ヒトのボランティアを対象とした試験などを用いて保証することが可能だという。(c)AFP