【3月8日 AFP】ロシアの科学者らが南極の氷底湖、ボストーク(Vostok)湖から採取した水の中から、全く新種のバクテリアを発見したとロシア通信(RIA Novosti)が7日、報じた。

 ペテルブルク核物理学研究所(Petersburg Nuclear Physics InstitutePNPI)遺伝学研究室のセルゲイ・ブラト(Sergei Bulat)氏(遺伝学)によると、見つかったバクテリアのDNAは現在確認されている地球上のどのバクテリアとも異なっていたという。

   「われわれは、この生命体が『未分類』で『未確認』のものだと考えている」(ブラト氏)

 このバクテリアは、2012年5月にロシアの研究チームが氷床を約4キロメートルにわたって掘削し、ボストーク湖から採取したサンプルから発見された。南極最大の氷底湖であるボストーク湖は、100万年以上にわたり湖水が凍り付くことなく氷の下に閉ざされてきたとみられ、科学者らは長年、内部の生態系に注目してきた。

 ブラト氏によると、新種のバクテリアとその他の種とのDNA類似度は86%以下だった。「DNA研究においては、これはゼロ同然の数値だ。類似度が90%でも通常、未知の生命体だということを意味する」とブラト氏は説明。さらに、このバクテリアには子孫とみられる種さえ見つからないと述べた。

 ブラト氏は「もし、これが火星で見つかったのであれば、火星に生命がいることを疑う者はいないだろう。だが、これは地球で見つかったバクテリアだ」と語っている。

 今年5月には、再度のサンプル採取が予定されているという。「同じグループの有機体をまた発見できたら、どのデータベースにも載っていない新たな生命体を地球上で発見したと確信を持って言えるだろう」(ブラト氏)

 ボストーク湖のような極端に過酷な環境に生息できる生物が発見されれば、太陽系内の他の星にも生命が存在する可能性が高まる。土星の衛星エンケラドス(Enceladus)や木星の衛星エウロパ(Europa)には、氷でできた地表の下に海や湖が存在すると考えられており、科学界では長年、これらの場所に生命が存在する可能性をめぐって熱い議論が交わされている。(c)AFP