【3月7日 AFP】マレーシア・ボルネオ(Borneo)島サバ(Sabah)州の農村に同州の領有を主張するフィリピン人武装集団が立てこもっている事件で、武装集団の指導者でスルタン(イスラム王侯)を自称するジャマルル・キラム3世(Jamalul Kiram III)は7日、停戦を宣言した。マレーシア側にも応じるよう呼び掛けたが、マレーシア政府は拒否した。

 キラム3世(Jamalul Kiram III)はフィリピン・マニラ(Manila)で代理人を通じ、7日午後0時30分(日本時間午後1時30分)から一方的な停戦を実施すると宣言。武装集団が「戦闘行為を停止して現在の地にとどまり、これ以上は占拠地を拡大しない」と述べた。国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長が6日に出した平和的解決を求める声明に応じたものだという。

 サバ州では、キラム3世がサバ州の領有権を主張して送り込んだ推定100~300人の武装集団が村を3週間にわたって占拠しており、治安の悪化に懸念が広がっている。マレーシア側は投降を求めていたが、武装集団側が拒否しため、5日からマレーシア軍が陸と空からの掃討作戦を開始していた。

 しかし、マレーシア政府は同日、停戦を拒否。同国のアフマド・ザヒド・ハミディ(Ahmad Zahid Hamidi)国防相は「一方的な停戦宣言は受け入れない。無条件降伏だけだ」とマイクロブログのツイッター(Twitter)で述べた。

 マレーシア警察当局によると、軍の掃討作戦では7日夕方までに武装勢力32人を殺害した。一連の事件での死者は、武装集団と治安部隊・警官合わせて60人となった。(c)AFP