【2月27日 AFP】オーストラリアの大富豪、クライブ・パーマー(Clive Palmer)氏は26日、英豪華客船タイタニック(Titanic)号のほぼ完全な複製となる「タイタニック2号(Titanic II)」の建造プロジェクトの正式な立ち上げを発表した。同じ仕様とはいうものの、船に備える救命ボートの数は増やすという。

 米ニューヨーク(New York)でこの計画を発表した同氏は、絶対に沈まないと考えられていた初代タイタニックが氷山に衝突し、北大西洋の海に沈んでから1世紀以上がたった今、完了せずに終わったニューヨークまでの船旅を終わらせるべき時がきたと説明。「タイタニックは夢の客船だった。しかし、タイタニック2号は夢が実現する客船だ」と述べた。

 世論はこれまで、この計画の実現に懐疑的だった。しかし同氏によれば、中国の長航重工金陵船廠(CSC Jinling Shipyard)との建造契約が、数日以内に締結される見通し。年末までに着工、2016年に進水の予定だ。ただ、建造費用は明らかにされていない。

■客室等級に合わせた当時の衣装の提供も

 タイタニック2号は、1912年当時の初代客船に採用されていた1~3等までの明確な客室の区分を特徴とし、2つのダイニングルームを備える。一方には華麗な装飾を施し、他方には細長い一般的なテーブルを設置する計画だ。「等級の違う船室にいる旅客同士が、接する機会はない」という。また、1等客室の旅客たちは、初代タイタニックと同じ大階段とトルコ風呂やプールを利用することができる。

 また、旅客には、客室の等級に合わせた当時の衣装が提供される。パーマー氏は、自分は3等客室に乗るとして、「楽しいことが起こるのは3等客室だ」とおどけて見せた。

■救命ボートを大幅に改良

 旅客2435人と乗組員900人が乗船できる全長約269メートルのタイタニック2号は初代に酷似した設計となるが、船幅と船体をわずかに大きくするほか、デッキを一段増やすなどの変更が加えられる。また、同氏が変更点について強調したのは、救命ボートを大幅に改良した点だ。初代タイタニックは十分な救命ボートを準備しておらず、凍り付くような海に船が沈んだ際、1500人以上が死亡した一因となった。

 計画通りに進めば、タイタニック2号は中国から英サウサンプトン(Southampton)まで移動し、そこから初代と同じように、ニューヨークまでの運命の航路を旅する。その後、同船は主に北大西洋の路線に就航する予定だ。

 最後にパーマー氏は、「もう一度、奥さんに恋することができますよ」と述べ、「米国の離婚率を引き下げたい」と冗談を飛ばした。(c)AFP/Sebastian Smith