【2月21日 AFP】国連(UN)は20日、国際キヌア年(International Year of QuinoaIYQ)の始まりを記念する行事を行い、南米ボリビアのエボ・モラレス(Evo Morales)大統領らが国連総会で演説した。

 キヌアはアンデス地方で7000年前から栽培されてきた穀物で、ビタミンとタンパク質を豊富に含んでいるが、その栽培はヨーロッパからやってきた植民者たちによって長い間禁じられていた。モラレス大統領や多くの専門家らはキヌアが世界的な食糧危機の解決手段になり得ると指摘している。

 ボリビアのキヌアの年間生産量は約3万8000トン。その3分の2以上が輸出されており、大半が欧米向けとなっている。エクアドルや年間生産量が4万トンを超えるペルーも世界の主要なキヌア生産国だ。

 モラレス大統領は演説の中で、西側諸国のファストフードはがんなどの病気の原因になる「人類への脅威」だと訴えるとともに、ボリビアの主食であるキヌアの発展を妨害しているとして多国籍企業を非難した。

 また、米国に率いられた国際的企業が2013年を国際キヌア年にすることを阻止するために活動してきたと指摘し、「これらの多国籍企業は国際キヌア年を失敗に終わらせようとしている。(国際キヌア年をきっかけに販売量が増えれば)価格が上昇し、彼らがキヌアを入手しにくくなるからだ」と発言。「多くの国際的な食品会社は、食糧生産をコントロールし、支配しようとしている」と述べた。

 一方、国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は演説の中でキヌアは「用途が広く、おいしい」と述べるとともに、世界キヌア年を機に食料・栄養安全保障、貧困撲滅、持続可能な農業の分野でキヌアが持つ潜在力についての理解が広がることを期待する、と述べたが、モラレス大統領とは違って多国籍食品企業を批判することはなかった。(c)AFP