【2月21日 AFP】火星を「赤い惑星」と呼ぶのはもうおしまいなのか──? 米航空宇宙局(NASA)は20日、火星無人探査車「キュリオシティー(Curiosity)」が火星の岩の内部から採取したパウダー状のサンプルは明るい灰色をしていたと発表した。

 米カリフォルニア(California)州パサデナ(Pasadena)にあるNASAジェット推進研究所(Jet Propulsion LaboratoryJPL)で開かれた記者会見で、キュリオシティーのサンプル採取システムを担当する科学者、ジョエル・ハロウィッツ(Joel Hurowitz)氏は、掘削によって採取したサンプルが火星といえば通常思い浮かべる赤さびのようなオレンジ色をしていなかったという事実に科学チームは興奮していると語った。

 同氏はまた、「物がオレンジ色になるとき、そこでは一種のさびつき現象によって、岩の中の鉄分が酸化している」と説明した。

 NASAは今月、キュリオシティーが地球以外の惑星の岩の内部サンプル採取に初めて成功したと発表していた。JPLの科学者らはこれを「歴史的」な進展だとしている。

 サンプルの分析が進めば、この色合いから地球から最も近い惑星である火星の歴史や組成についての重要な手がかりが得られるかもしれないと、NASAの科学者らは語る。

 採取されたパウダー状のサンプルは、キュリオシティーのロボットアームに取り付けられたドリルが2月8日に火星の平らな岩盤に6.4センチメートルの穴を開けた後に、姿を現した。探査車チームは今後、サンプルをふるいにかけ、キュリオシティーが搭載する機器で分析を行う予定だ。

 サンプルは、「ジョン・クライン(John Klein)」と名付けられたきめ細かな堆積岩から採取された。この名前は、2011年に死去した「マーズ・サイエンス・ラボラトリー(Mars Science LaboratoryMSL)」計画の副プロジェクトマネジャーの名にちなんでいる。(c)AFP