【2月7日 AFP】シリアのアサド政権と反体制派による和平交渉への望みがかすむ中、シリア軍は6日、ダマスカス(Damascus)周辺で反体制派の複数拠点に対し激しい攻撃を展開した。首都周辺では過去数か月にわたり比較的静けさが保たれていた。

 名前を伏せて取材に応じた政府の治安当局者は「政府軍は首都を取り巻くすべての地域に対し、組織的な全面攻撃を開始した。ダマスカスに入る経路はすべて封鎖した」と語った。

 シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)のラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)代表は、ダマスカス周辺の爆撃や衝突はここ数か月では最も激しいと語った。

 同監視団によれば、シリア南部の都市パルミラ(Palmyra)では軍の情報機関本部を狙った自爆攻撃が2件発生し、治安当局者19人が死亡した。同監視団の集計によるとシリア全土ではこの日、民間人32人を含む少なくとも122人が死亡したとみられる。

 一方で同日、シリア反体制派の統一組織「シリア国民連合(National Coalition of Forces of the Syrian Revolution)」のアフマド・モアズ・ハティブ(Ahmed Moaz al-Khatib)代表による対話の提案は、アサド政権に拒まれると同時に国民連合内の主要勢力「シリア国民評議会(Syrian National CouncilSNC)」からも全面的に拒絶され、挫折を余儀なくされた。

 ハティブ代表による対話の提案は、国際社会に驚きをもって迎えられながらも米国やアラブ連盟(Arab League)の歓迎を受け、イスラム協力機構(Organisation of Islamic CooperationOIC)の支持も得るとみられていた。シリア問題をめぐる国連(UN)とアラブ連盟のラクダール・ブラヒミ(Lakhdar Brahimi)合同特別代表も「前向き」だと賛同を示したが、政治的解決のためには十分ではないとの考えも示していた。しかし、SNCはこれまでどんな対話の可能性に対しても、自分たちの目標はアサド政権の追放であり、革命を維持するためにその政権との対話は一切拒絶するとしている。

 そうした強硬な姿勢をみせる勢力に対し、エジプトのムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)大統領は首都カイロ(Cairo)で同6日に開幕したOIC首脳会議の場で、シリア国民連合と協調し、民主化のために統一したアプローチを目指す国民連合の取り組みを支持するよう呼び掛けた。

 AFPが入手した草案によるとOICでは、シリアの反体制派と、圧政には直接関与していないシリア政府高官らとの真摯な対話を呼び掛けると同時に、「現在続いている武力衝突の主たる責任はシリア政府にある」としながら、シリアが「領土的一体性と主権」を維持する必要性を強調している。(c)AFP