【1月17日 AFP】米航空機大手ボーイング(Boeing)が社運をかけて開発した新世代ジェット旅客機B787「ドリームライナー(Dreamliner)」のバッテリーが飛行中に発火する恐れがある問題で、世界各国の航空当局は17日、相次いで同型機の運航停止を命じた。

 米連邦航空局(Federal Aviation AdministrationFAA)がバッテリーの問題が解決されるまでドリームライナーの運航停止を命じたのに続き、日本、インド、チリ、欧州の航空当局も17日、同様の措置を発表。世界のドリームライナーのほとんどが運航を取りやめた。

 航空アナリストらは、この1週間に続発したトラブルでドリームライナーの安全性に懸念が出ていた中で起きた16日の全日空(All Nippon AirwaysANA)機の高松空港への緊急着陸について、ボーイングには慎重な危機管理が求められていると指摘する。

 ボーイングのジム・マックナーニ(Jim McNerney)最高経営責任者(CEO)は17日、一連のトラブルについて「非常に遺憾に思う」とのコメントを発表。FAAと連携して「あらゆる必要な措置を取る」と約束する一方、「787の安全性には自信を持っている」と主張した。

 超軽量複合材を用いて機体の大幅な軽量化を実現し、各航空会社の負担となっている燃料コストを削減した画期的な新型機ドリームライナーは、従来機では油圧制御だったブレーキにリチウムイオン電池による電子制御を採用している。機体部品の製造は世界各国のメーカーに外注しており、バッテリーは電源装置を手掛ける日本のメーカー、ジーエス・ユアサ(GS Yuasa)製だ。ユアサによると、バッテリーは仏タレス・グループ(Thales Group)に納品し、同社で組み立てられたという。

 投資家向け情報サイト「24/7WallSt.com」のダグラス・マッキンタイア(Douglas McIntyre)氏は、「ボーイングの技術者や航空機専門家、一部の米金融アナリストらは一連の問題を新型機に付きもののトラブルだと弁解している。だが、もはやこれらの弁解に弁解に効力はない」と述べている。(c)AFP/Kyoko Hasegawa