【1月17日 AFP】エビやカニなどの甲殻類は痛みを感じることができる可能性が高いとする研究結果が17日、発表された。研究を行った研究者は、熱湯に放り込まれたロブスターは、実は長い間にわたって苦しみ続けているのかもしれないと話している。

 北アイルランド・ベルファスト(Belfast)のクイーンズ大学(Queen's University)の研究者らが行った一連の実験で、特定の場所で繰り返し電気ショックを与えられたカニは、たとえそこが隠れ場所に絶好な暗がりだとしても、その場所を避けるようになることが分かった。英科学誌「Journal of Experimental Biology(実験生物学ジャーナル)」に掲載された論文では、これはカニが痛みを感じていることを示唆するものだとされている。

 研究を率いたクイーンズ大学のボブ・エルウッド(Bob Elwood)氏は、カニが痛みを感じることを完全に証明することは不可能だとしつつも、実験結果はカニが痛みを感じるとする説と「つじつまが合う」ものだとAFPに語った。

■体の一部もぎとられても神経系統は1時間以上機能

 エルウッド氏は、人間の食料として捕獲または養殖される年間数十億匹のエビやカニは「非常に極端な」扱いを受けていると話す。

「カニははさみをもぎ取られ、生きたまま海へ戻される。ロブスターやエビは、肉となる腹部を残して体の前半分をもぎ取られる。脳や胸部の神経系統は、1時間後でもまだ機能しているのに」

 同氏によると、甲殻類の脳は脊椎動物の脳と異なるため、痛みを感じないと推測する人々は多い。同氏は「こうした動物の扱い方について、さらに良く考えていく必要がある。非常に大きな問題が見過ごされている可能性がある」と話している。(c)AFP