【1月5日 AFP】インドの首都ニューデリー(New Delhi)で前月16日、女子学生(23)がバスの中で男6人から性的暴行を受け死亡した事件で、一緒に襲われた恋人の男性(28)が、自分たちが受けた残虐行為や、強姦犯らを退けられなかったことで自らが負った心的外傷について語った。

 約1時間にも及んだ犯行で、脚の骨を折られるなど自分も大けがをした男性は、事件直後に警官も通行人も見向きもせず、裸同然にされた女性を助けようともしてくれなかったと悲観した。

 ニューデリーのコンピューター・ソフトウエア会社に勤務している男性は事件後、仕事を休み、インド北部の地方部にある実家に身を寄せている。「語れることなんてない。起こってはならない残虐行為だった」。ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州ゴラクプル(Gorakhpur)の実家から、匿名でAFPの電話インタビューに答えた男性はこう続けた。「(最初は)男たちと戦おうとしたけど、後はひたすら彼らに、彼女(被害者の女性)を放してくれと懇願するばかりだった」

 2人は事件の夜、映画を見に出かけたが、ニューデリー郊外にあった被害者女性の家へ帰るために人力タクシーを拾おうとして何台かに断られた後、個人バスに乗ることにした。しかしバスに乗り込んだ2人は、運転手を含む酒に酔っていたとみられる男たちに襲われ、女性は集団に強姦された上、鉄の棒でも内臓が激しく損傷するほど性的暴行を受けた。

 一連の残虐行為の後、2人は運転中のバスから突き落とされたが、そのときに通行人たちが助けに来てくれなかったとも男性は語った。「通行人が1人、僕たちに気付いたけど、(裸同然の)彼女にジャケットを貸してもくれなかった。僕たちは警察が助けに来てくれるのを待った」

 しかし警察も無神経で、被害を受けた2人の精神状態に注意も払わなかったと男性は批判した。被害者の女性は病院に搬送されたものの、男性のけがと精神的ショックに対するケアはなかったという。「駆けつけた警察には物のように扱われた。彼らは事件の解決にだけ夢中で、僕の治療は二の次だった」

 男性は4日、事件後初めて公の場に姿を現し、現地のヒンズー語系ケーブルテレビ局「Zee News」のインタビューに苦悩に満ちた様子で答えた。「バスに乗るのは乗り気じゃなかった。けれど彼女が早く帰らなくてはいけなかったので2人で乗った。今まで自分が犯した中で最悪の過ちだった。その後、何もかも滅茶苦茶になった」

 バスを運転していた男がわいせつな発言をし、仲間がそれに同調してカップルをやじり始めたとみられる。被害者の男性は運転手にバスを止めるよう言ったが、その前に仲間がバスの2か所のドアをロックしていた。「そして彼らは短い棒で僕を殴りつけ、彼女を運転室近くのシートにひきずり込んでいった。それから運転手と奴らは彼女を強姦し、さらにこれ以上ない最悪の方法で局部を痛めつくした。あのときのことを思うと、言葉なんてない。苦しすぎて震えてくる」

 男性はさらに女性が最初に搬送された公立病院で受けた救急治療についても、適切だったかどうか疑問を呈した。

 女性はインドの公立病院で3回の大手術を受けたが心停止し、シンガポールの専門病院へ搬送された。事件発生から13日間にわたる救命治療の甲斐なく、12月29日に亡くなった。

 一方、犯行に加わった6人は事件直後に逮捕され、殺人、強姦、拉致の罪で起訴された。今回の事件に対しインド全土では抗議デモが続いており、5日から予備審問が始まる同事件の公判は、異例の速さで進められる見込みだ。起訴されている6人のうち、17歳の1人を除く成人5人は、有罪の場合、死刑となる可能性がある。(c)AFP/Rupam Jain Nair