【12月28日 AFP】米コネティカット(Connecticut)州ニュータウン(Newtown)の小学校での銃乱射事件以降、米国で銃の売り上げが急増している。事件後、銃規制に関する議論が活発化しており、特定の銃器や大容量の弾倉などの販売が規制されることを懸念する銃愛好家たちが殺到しているのだ。

 ニュータウンのサンディフック小学校(Sandy Hook Elementary School)銃乱射事件の発生を受け、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領は一部銃器の販売を禁止する意欲を示した。ノースカロライナ(North Carolina)州シャーロット(Charlotte)の銃販売店店主、ラリー・ハイアット(Larry Hyatt)さんは、このオバマ大統領による一連の動きが銃愛好家たちに「忠告」を与えたのだと語る。

 サンディフック小学校銃乱射事件ではセミオートライフル「ブッシュマスターAR-15(Bushmaster AR-15)」が凶器として用いられ、子ども20人と教職員ら6人、そしてアダム・ランザ(Adam Lanza)容疑者の母親が犠牲になった。ランザ容疑者も自殺している。

「事件直後に、銃規制賛成派(活動家)が議論を始めた。大統領は迅速な行動をとりたいと語ったけれど、それは銃購入熱に油を注ぐことになる。事実そうなった」とハイアットさんは述べ、購入殺到はほぼ「政治的に動機づけられた」ものだと説明した。

「50年間この仕事をしている。(不安に基づく購入は)以前にも目撃してきた。だが今回は非常に強い。というのも、大統領がメディアを通じて、『銃が欲しいなら、今すぐ買いなさい』と言った様なものだからね」(ハイアットさん)

 国内で最も「重武装」のフロリダ(Florida)州では今週、銃の携帯許可証の有効発行数が100万件を超え、過去最高を記録した。州政府報道官がAFPの取材で語った。フロリダの人口は1900万人だ。

 世界最大手の銃関連部品メーカー「Brownells」のピート・ブラウネル(Pete Brownell)氏は、銃関連のインターネットフォーラムで、「過去5日間の弾倉の(販売)状況は空前だった」と述べている。

 ブラウネル氏は、約3年半分の需要量に相当するポリマー製弾倉「PMAG」の在庫が、わずか72時間のうちに飛ぶように売れたとし、「できる限り迅速に注文品を届けられるよう、私たちはものすごい勢いで働いている」とブラウネル氏は付け加えた。

 国内の地方各紙もクリスマス商戦における銃と弾倉の売り上げ急増、とりわけ銃見本市での売り上げ増を報じている。銃見本市は、購入者の身元確認などが行われないことが多いため、以前より銃規制派から規制の抜け穴になっていると批判されてきた。

■相次ぐ事件、銃規制の気運高まる

 軍のものを除く銃器の数は2009年時点で推定3億1000万丁。国民1人につき1丁の銃を所持している計算になる。また、米国市民が銃で殺害される可能性は、他の先進国と比較して20倍以上高い。

 米国では1982年以降、銃乱射事件が62件起きるなど銃犯罪が爆発的に増加した。犯罪に使用された銃の大半は、犯人が合法的に取得したセミオートの拳銃またはライフル銃だった。

 サンディフック小学校銃乱射事件後、オバマ大統領はライフル銃の販売を禁止する新法案への支持を表明。さらに学校警備から精神保健に至るさまざまな対策を検討するための委員会に責任者としてジョゼフ・バイデン(Joseph Biden)副大統領を指名したと発表した。

 また、民主党のダイアン・ファインスタイン(Dianne Feinstein)上院議員は、殺傷能力の高いセミオート銃器100種類以上の販売を禁止し、これら銃器の輸送や輸入、保有を制限する法案を1月3日に提出すると発表している。

 24日にも銃関連の事件が起きた。ニューヨーク(New York)州では放火事件にかけつけた消防隊員に向けて銃が発砲され、隊員2人が死亡、別の2人が負傷した。またテキサス(Texas)州では、自動車の運転手が交通違反の停止命令を無視して発砲。警察官1人と通行人1人が死亡した。(c)AFP/Michael Langan