【12月19日 AFP】全国的なポリオワクチン接種キャンペーンが17日に始まったパキスタンで、2日間のうちにワクチン接種に従事していた6人が銃を持った男たちに殺害された。当局者が18日に明らかにした。

 警察によると、シンド(Sindh)州の州都カラチ(Karachi)で17日に地元当局と世界保健機関(World Health OrganizationWHO)が共同で行っているワクチン接種プロジェクトに携わっていた男性1人が殺害された他、18日にも同じくカラチで組織的犯行と思われる襲撃によってわずか1時間足らずの間に女性4人が殺害された。

 さらに18日にはパキスタン北西部の都市ペシャワル(Peshawar)で女性1人が殺害された。ペシャワルはアフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)などの武装勢力が潜むパキスタンの部族地域に近い。シンド州の保健相は、襲撃を受けてカラチでのポリオワクチン接種キャンペーンを一時停止するよう命じた。

 パキスタンは、アフガニスタンとナイジェリアに並んでいまだにポリオが風土病として残っている3か国の1つ。だがワクチン接種キャンペーンはスパイ活動の隠れ蓑だとするタリバンは今年6月、米国の無人機による攻撃に抗議して部族地域のワジリスタン(Waziristan)でワクチン接種を禁止していた。

 パキスタンでは国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者の行方を追っていた米中央情報局(CIA)に協力して有罪判決を受けたパキスタン人医師が、その活動を隠すために肝炎のワクチン接種プログラムを利用していた。

 ワクチン接種ができなければワジリスタンで24万人の子供たちの健康が危険にさらされると専門家らは指摘している。(c)AFP/Hasan Mansoor