【12月5日 AFP】イランは4日、ペルシャ湾(Persian Gulf)上空の同国領空を侵犯した米国の小型無人偵察機を捕らえたと発表した。米ホワイトハウス(White House)とペルシャ湾に展開する米海軍第5艦隊はイラン側の発表を否定した。

 イラン革命防衛隊(Revolutionary Guards)のウェブサイト「Sepahnews.com」に掲載された声明によると、ペルシャ湾上空で偵察と情報収集を行っていた米無人偵察機がイラン領空に入り、ただちに機体を捕らえたという。声明は無人機の確保手段や場所、日時などは明らかにしておらず、当該機は「数日前から」偵察活動を行っていたとのみ記している。

 ペルシャ湾のイラン領海の防衛にあたっている革命防衛隊の海軍部門によれば、米無人偵察機は米ボーイング(Boeing)製の短距離プロペラ偵察機「スキャンイーグル(ScanEagle)」。翼長は3メートルで、航続距離は100キロ。艦艇から発進することが多いという。

 これに対し、米海軍第5艦隊のジェーソン・サラタ(Jason Salata)報道官はAFPに、この数か月間、無人偵察機は1機も失っていないと述べた。またペルシャ湾に展開する同艦隊は国際法を順守して活動していると述べ、同艦隊による飛行はイラン領空外で行われているという認識を示した。

 価格が比較的安い「スキャンイーグル」は、米国のほかアラブ首長国連邦(UAE)やオーストラリア、カナダなどペルシャ湾に展開している米国の同盟国も導入している。

■イラン、1年前にも米無人機を捕獲

 革命防衛隊はちょうど1年前の2011年12月4日にも、米中央情報局(CIA)の無人偵察機を捕らえたと発表している。当時のイラン側の発表によれば、この機体は「スキャンイーグル」よりも大型で高度なステルス無人偵察機「RQ-170センチネル(RQ-170 Sentinel)」。

 米国はイランに同機の返還を求めたがイランはこれを拒否し、独自の無人偵察機開発に役立てるため機体のリバースエンジニアリング(仕組みを解析すること)を行うと発表した。

 イラン側は同機の衛星利用測位システム(GPS)を電子的に操作して誘導・着陸させたと発表したが、米政府は機体の不具合によるものだと反論した。(c)AFP/Mohammad Davari