【11月30日 AFP】国連(UN)総会は29日(日本時間30日朝)、パレスチナの国連での地位を「オブザーバー国家」へ格上げする決議を、賛成138か国、反対9か国、棄権41か国の圧倒的な賛成多数で採択した。米国とイスラエルが強く反対していたなかでの採択は、マフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長にとって大きな成果となった。

 決議案が採決されたことにより、パレスチナはこれまでの「オブザーバー機構」からバチカン市国と同じ「オブザーバー国家」になる。これは正式な国連加盟国ではないものの、国連機関への加盟が可能になるほか、国際刑事裁判所(ICC)加盟への可能性も開ける。

 演説でパレスチナに「出生証明書」を与えて欲しいと訴えたアッバス議長は、決議案の採択後にパレスチナの外相と抱き合って喜び、何度もスタンディング・オベーションを受けた。パレスチナ指導部は今回の「歴史的な」採択をてこに、イスラエルが入植地建設を強行したために2010年9月から凍結されているパレスチナとイスラエルの直接交渉を進めたい考えだ。

 スーザン・ライス(Susan Rice)米国連大使は、決議の採択はパレスチナとイスラエルの直接交渉再開にはつながらず、和平への障害になるとして採択を非難した。アッバス議長は2011年9月にパレスチナの国連への正式加盟を申請したが、米国が反対して正式加盟への動きを阻止していた。(c)AFP