【11月29日 AFP】米バージニア工科大学(Virginia Tech University)の天文学チームは、観測史上最も強力なクエーサー(準恒星状天体)のエネルギー放出を検知したと発表した。宇宙誕生の原理を説明する「初めての証拠」だという。

 南米チリにある欧州南天天文台(ESO)の大型望遠鏡VLT(Very Large Telescope)で検知したクエーサー「SDSS J1106+1939」から放出されたエネルギーの大きさは太陽の2兆倍で、質量は400倍にもなる。これまで観測されたクエーサー放出エネルギーの5倍以上も強力だという。

 クエーサーは非常に明るい星のように輝く天体で、新しく生まれた銀河の中心に存在する巨大ブラックホールをエネルギー源としていると考えられている。地球から非常に遠い距離にあり、最も精巧な望遠鏡を用いても検知した光は数十億年前のものとなることから、原始期の宇宙を知る手がかりになるのではと期待されている。

 天文学説では、巨大銀河が少ないことや銀河の質量とブラックホールの関係などにクエーサーからのエネルギー放出が関係しているとされるが、研究チームによるとこの原理で示されるほど強大なエネルギー放出が観測できたのは今回が初めてという。(c)AFP