【10月13日 AFP】栽培されているコメ全種類のDNA分析を行った結果、すべて中国南部・珠江(Pearl River)流域を起源としていることがわかった。3日の英科学誌ネイチャー(Nature)で発表された研究論文で明らかになった。

 小麦、トウモロコシと並ぶ三大穀物として世界中で食されているコメ。数百に及ぶ種類があり、その起源については長年論争の的となっており、なかには栽培化は世界各地で同時に始まった、2種類の系統が並行して登場した、などの説もある。

 しかし今回発表された論文によると、世界で初めて栽培されたコメはジャポニカ米で、数千年前に珠江の中流域に自生していた野生のイネから育てられたとされる。

 栽培米の品種は、大きく分けてジャポニカ米とインディカ米の2系統に分けられる。前者が短く弾力性があり、後者は細長く粘り気が少ない。

 中国科学院(Chinese Academy of Sciences)、上海生命科学研究院(Shanghai Institute for Biological Sciences)の韓斌(Bin Han)氏率いる研究チームは、コメのDNAの塩基配列を構成するわずかな文字列の違いについても比較するため、商業的に栽培されているコメの祖先にあたる野生のイネの地域別446品種と、ジャポニカ米、インディカ米合わせて計1083品種の膨大なデータベースをまとめた。

 それらのイネの系統をたどっていった結果、インディカ米はジャポニカ米とは別に野生種から栽培されるようになったという説を反証できるとチームは述べる。それどころか最初のインディカ米は、ジャポニカ米と野生米を交配させ生まれたとし、またこの交配種が東南アジア、南アジアへ広がり、各地でその地域の条件に合うように改良品種が栽培されていった結果、ジャポニカ米とは別のインディカ米という亜種の系統が確立したとした。

 このゲノムの比較は植物育種家にとって重要な情報であり、改良の際に加わった55種類の遺伝子特性を突き止めることができたという。

 今回の論文では栽培が始まった具体的な時期について触れていないが、昨年米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)で発表された研究によると、コメの栽培は約8200年前に始まったとされており、これは中国・揚子江渓谷(Yangtze Valley)で発見された考古学的な資料と一致するという。(c)AFP