【9月26日 AFP】これまで2012年米大統領選について口を閉ざしてきたヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官が24日、「富裕層への増税」という選挙戦で最も熱い論点について初めて自らの考えを述べた。

 クリントン長官は、米ニューヨーク(New York)で開かれた財団「クリントン・グローバル・イニシアチブ(Clinton Global Initiative)」の年次総会で演説を行った。同財団は夫のビル・クリントン(Bill Clinton)元米大統領が設立したもの。クリントン長官は演説で次のように述べた。

「私が世界中で訴えている問題の1つに、税金を公平に徴収するという問題があります。特に各国のエリート層からです」

 さらに「私がアメリカの政治に関与していないことは皆さんご存知のところです」との前置きで会場の笑いを誘うと、「ですが、世界中の国でエリート層が金儲けをしていることは事実です」と続けた。

 11月の大統領選挙で再選を目指す民主党のバラク・オバマ(Barack Obama)現大統領と、それに対抗する共和党のミット・ロムニー(Mitt Romney)候補は、全く異なる米経済の立て直し策を掲げている。

 元実業家で資産家のロムニー氏は、所得税の一律20%カット、投資収入に課せられる税の一部撤廃、法人減税を掲げている。一方のオバマ大統領は、富裕層増税を打ち出している。

 24日の演説でクリントン長官は、「金持ちはどこにでもいるが、自国の成長に貢献していない」と指摘。国外からの支援に頼った開発から脱却し、長期的な開発を模索する各国にとって、国内の財源を生み出す税金は非常に重要だとし、「つまり、(国の)指導者らは権力を持った人々(富裕層)が聞きたがらないことも言わなければならない」と述べた。

 2008年の大統領選民主党候補指名争いでオバマ現大統領に敗れたクリントン長官は、2016年の大統領選には出馬しないと明言している。だが夫のクリントン元大統領は23日、同長官が4年後に出馬する可能性について「彼女が将来どうするのかは全く分からない」とし、「自分の人生について彼女自身で整理して、どうしたいか決めさせてあげるべきだ」と述べている。(c)AFP