【9月14日 MODE PRESS】東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールで9月13日から30日まで、ベルナール ジョナー(Bernard Johner)が日本を題材に描いた作品を一堂に会した絵画展『Japon à pinceau levé』が開かれている。和傘を差した日本人形や、澄んだ水の中を悠々と泳ぐ錦鯉、街を歩く着物姿の女性、電車で眠るサラリーマン。日本人にはなじみの深い風景を情緒豊かに描き出すジョナーの作品は、日本の魅力をあらためて再確認させてくれる。開催にあわせて来日したジョナー氏に話を聞いた。

■インタビュー:ベルナール ジョナー

 私の祖父は遠い昔、アジアを旅行しさまざまな体験をしたそうです。母から聞いたそのエピソードは、まるで宝物のように幼い私の記憶に刻み込まれました。いつかその地を訪れ、自分の目で確かめてみたい。その願いが叶ったのは08年のことでした。60代後半にして、夢の地に到達したのです。

 日本では、目に映る全てのものに心を奪われました。感情がドーンと音をたてて爆発したような、それほど衝撃的な体験だったのです。伝統的な風景や、現代的な街並み、人々の美しさ。ありとあらゆるものを観察し、たくさんのスケッチを手にして帰国しました。それから文字通り朝も昼も夜も、日本をテーマにした作品のことばかり考えていました。日本の精神や哲学を知るため、日本人作家の本もたくさん読みました。あまりの入れ込みように、妻はあきれていましたよ。

 作品を作る際は、今昔の日本の光景に、夢の中に出てきたモチーフや、自分の昔の記憶などを組み合わせていきます。例えば、皇居をスケッチする自分の姿を絵の中に描いてみたり、子どもの姿に亡き妹を重ねたり。ありのままの日本の姿を描写しているわけではありません。イマジネーションの中で、まるでパズルのように現実と幻想を組んでいくのです。古典的なものとモダンなもの、東洋と西洋といった境界を越えどこまで表現できるか、今でも模索中です。

 過去にも、ゴッホやドガなど日本に魅了された画家はたくさんいました。日本には、私たちを魅了してやまない不思議な力があるのです。初来日からこの4年間、日本をテーマにした作品だけを描き続けてきましたが、まだまだ足りない。次から次へと作品のアイデアが沸いてきます。心に映る日本の姿を、もっと描きたいのです。私の作品を目にした日本の方が「日本の魅力を再発見した」と言ってくださるのが、とても励みになりますね。

【イベント詳細】
ベルナール ジョナー絵画展『Japon à pinceau levé』
開催場所:シャネル・ネクサス・ホール http://www.chanel-ginza.com/
住所:中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4階
開催期間:2012年9月13日(木)~9月30日(日) 12:00~20:00 入場無料
問い合わせ:03-3779-4001(シャネル・ネクサス・ホール事務局)
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