【9月4日 AFP】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の次男、アンドルー王子(Prince Andrew、52)が3日、ロンドンにある高層ビル「シャード(The Shard)」(高さ310メートル)の外壁をザイル(ロープ)を使って降下する懸垂下降に挑んだ。シャードは前月完成したばかりの欧州一高い高層ビル。

 シャードの87階から下降を開始したアンドルー王子は、約30分かけて約235メートル下の20階に到達した。

 王子の挑戦は、教育関連慈善団体「Outward Bound Trust」と退役海兵隊員基金「Royal Marines Charitable Trust Fund」により支援されたもので、現役および退役軍人のための資金集めが目的だ。英国のベテラン登山家クリス・ボニントン(Chris Bonington)氏(78)ら40人も共に懸垂下降に参加し、最終的に計29万ポンド(約3600万円)が集まった。

 懸垂下降を終えたアンドルー王子は、「一番上は怖かった」と告白しつつ、その一方で、「一番大変だったのは、最後の10階は階段で上がらなければならなかったこと」と冗談も交えた。しかしタワーの上では、自分が挑戦しようとしていることの現実に直面したようで、外壁から一歩外に踏み出すことが一番難しかったようだ。

 懸垂下降に備えて英海兵隊で今夏、訓練を受けたことで、王子は恐れずに自信を持って外壁から最初の一歩を踏み出せたと話した。だが、タワーの上層部分では窓が密集した構造になっているため、ほとんど足場がなかったという。

 アンドルー王子は英海軍の司令官で、1982年のフォークランド紛争(Falklands War)への従軍経験がある。

 王子は7月5日のシャード落成式にも、同ビルに95%出資するカタールのハマド・ビン・ジャシム・ビン・ジャブル・サーニ(Hamad bin Jassem bin Jabr al-Thani)首相とともに出席している。

 テムズ川(River Thames)南岸のロンドン橋(London Bridge)近くに立つシャードは、ガラスの破片(シャード)をイメージしたデザインになっている。(c)AFP