【9月3日 AFP】パキスタンで知的障害のあるキリスト教徒の少女がイスラム教の聖典コーラン(Koran)の言葉が記された紙を燃やしたとして逮捕された事件で、警察は1日、地元モスクのイマーム(礼拝の導師)を証拠捏造(ねつぞう)などの容疑で逮捕した。

 事件は2週間ほど前、首都イスラマバード(Islamabad)近郊の貧困地区メフラバード(Mehrabad)に住むリムシャ(Rimsha)いう名の10代の少女が手にしていた燃えた紙片の中にコーランの文言が書かれた紙があったとして、この少女がイスラム教冒涜(ぼうとく)の容疑で逮捕されたもの。少女は現在、勾留されている。医師の鑑定によると少女の精神年齢は14歳未満だという。

 ところが、少女の逮捕につながった紙片を警察に提出したメフラバードのモスクのイマーム、ハフィーズ・ムハンマド・ハリード・チシュティ(Hafiz Mohammed Khalid Chishti)容疑者が、紙片に自らコーランのページを紛れ込ませていた疑いが浮上した。

 AFPの取材に応じた警察の捜査官によると、同モスクの副イマームら3人は、目撃者が持ってきた焼けた紙片に手を加えずにそのまま警察に渡すよう容疑者に強く求めたが、容疑者は「ここからキリスト教徒を追い出すにはこうするしかない」と言って、紙片にコーランのページを紛れ込ませたと治安判事に証言したという。

 この証言を受けて警察は1日夕、自宅にいた容疑者を証拠捏造とイスラム教冒涜の容疑で逮捕した。裁判所は翌2日、警察の特殊部隊員に囲まれ、目隠しをして手錠を掛けられた姿で裁判所に現れた同容疑者について14日間の勾留を認めた。同容疑者は少女と同じ施設に勾留される。容疑者は、報道陣に対し容疑はでっちあげだと訴えた。

 この少女の事件については、個人的な恨みをはらすために利用されかねないとして、かねてから厳格なイスラム教冒涜罪を定めたパキスタンの法律を批判してきた欧米政府や人権団体が懸念を示している。(c)AFP/Masroor Gilani