【8月27日 AFP】債務危機に陥ったギリシャに対する財政再建圧力が高まる欧州で、冷戦時代の東西分断を彷彿(ほうふつ)とさせる「南北分断」が起きつつある――。欧州各国の高官が前週、相次いでこのような見解を示し警鐘を鳴らした。

 エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国とドイツの4か国外相は23日、ラトビアの首都リガ(Riga)での4者協議に先立ち共同声明を発表。「ベルリンの壁(Berlin Wall)崩壊から20年を経て、われわれの大陸は再び分断の危機にさらされている。今度は北と南の分断だ」と述べた。

 これに先立ってフィンランドのアレクサンデル・ストゥッブ(Alexander Stubb)欧州相も、同じ懸念を表明している。ストゥッブ氏はスウェーデンの日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル(Dagens Nyheter)に対し、次のように語った。「欧州は50年近くにわたり東西に分断されてきた。今になって南北間で分断を生む意味はない。われわれは新たなベルリンの壁を作りたくはない」

■エコノミストからは「南北分断」提案も

 ギリシャが支援継続の条件となっている財政緊縮策と増税の実施期限延長を求めたことで、欧州では対応をめぐって激論が続いている。ギリシャはユーロ圏離脱を余儀なくされるだろうとの憶測も出ている。

 債務危機がスペインとイタリアにも飛び火する恐れが広がる中、複数の経済学者がユーロ圏を北の「強いユーロ」と南の「弱いユーロ」に二分し、南側諸国の経済再建を進めるべきだとの見解を示している。(c)AFP