【8月25日 AFP】シリアで激しい戦闘を展開しているバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権軍と反体制派との対立が、隣国レバノンに波及している。地中海に面するレバノン第2の都市トリポリ(Tripoli)では今週に入り、アサド政権を支持するイスラム教少数派アラウィ派と反体制側を支持するスンニ派の勢力の衝突が続き、24日には新たにスンニ派の聖職者1人を含む3人が死亡した。

 治安当局関係者によると、20日からの両者の衝突ではこれまでに計14人が死亡。また100人を超える負傷者が出ており、その大半は狙撃手による襲撃されたものだという。

 衝突が起きているのはトリポリ市内東部のシリア通り(Syria Street)で、アラウィ派地区ジャバル・モフセン(Jabal Mohsen)とスンニ派のBab al-Tebbaneh地区の境界となっている。20日の衝突以降、レバノン軍が出動して両者を隔てているが、24日早朝にスンニ派の聖職者ハリド・バラデイ(Sheikh Khaled al-Baradei)師(28)が狙撃手に殺害されたことから衝突が激化。携行式ロケット弾や銃撃の応酬がみられた。

 一連の衝突の前までには誘拐が増えており、ただでさえ不安定なレバノン情勢はさらに揺らいでいる。自動車修理工場を経営しているという地元男性は、「僕たちはシリアで起きていることと何も関係ない。平和に暮らしたいのに。僕たちは生きていくのにやっとなのに、民兵たちは給料をもらっている。彼らはどんな理由でも、自分たちの利益のために戦うんだ」と語った。

 トリポリ出身のナジブ・ミカティ(Najib Mikati)首相は22日、「指導者たちが協力し、レバノンを危険から守らなければならない時だというのに、レバノンをますますシリアの内戦に引きずり込もうとする動きがある」と懸念を表明した。(c)AFP