【8月23日 AFP】スペインの老婦人が教会の柱に描かれていた約100年前のイエス・キリストの絵画を善意で「修復」したところ、全く異なる絵になってしまうという災難があった。

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 北東部ボルハ(Borja)の教会にあるこの絵は、スペイン人画家エリアス・ガルシア・マルティネス(Elias Garcia Martinez)が1910年に描いた「Ecce Homo(この人を見よ)」。特に名画とはみなされていないが、マルティネスは教会の柱に直接絵筆を走らせ、十字架にかけられる際にいばらの冠をかぶって悲しげに天を見上げるキリストの姿を2時間で描きあげたという。

 傷みが目立ってきたこの絵を見て突如、修復しようとの善意に燃えたアマチュア画家だという80代女性が現れたが、この女性、なんと原画の上に直接、絵を描いてしまった。しかも「修復された」絵は、子どものお絵かきのような目にマンガめいた鼻がつき、血の気のない顔の周りをサルのように毛皮が覆っているかに見える、原画とは似ても似つかない出来だった。

 最近になってスペイン国内メディアで大々的に取り上げられたこの「修復」問題、ニュースサイトやSNSでも「国民的ジョーク」扱いでユーザーからのコメントが殺到している。

 地元文化当局者によると、女性は「何年もかけて修復してきたけれど、完成を目前にしてあきらめなければならなかった」などと、つじつまの合わない説明をしているという。ボルハ市では、この女性を訴えるかどうか検討している。(c)AFP