【8月10日 AFP】ロシア・タタルスタン共和国のカザニ(Kazan)で、カルト的なイスラム教グループによって地下生活を送らされていた子どもたち約20人が警察に保護された。ロシア内務省が明らかにした。

 警察によると、このイスラム教グループは自身を預言者と称する地元出身のファイズラフマン・サタロフ(Faizrakhman Satarov)容疑者(85)を指導者とするカルト団体。約60人のメンバーは、10年以上もカザニにあるモスク地下の隠し部屋で生活していた。同グループのメンバーを親に持つ子どもたちの少なくとも15人は、外部との接触を絶たれ、劣悪な環境下での生活を強いられていた。

 カザニでは先月、穏健派のイスラム教指導者を狙った襲撃事件が2件起きており、この事件関連の捜査をしていた警察がモスク内の地下に閉じ込められていた子どもたちを発見した。

 タタルスタンのルスタム・ミンニハノフ(Rustam Minnikhanov)大統領は、見つかった子どもたちは計19人で、ほとんどが6歳未満で乳児3人も含まれていたと発表。保護された子どもらは皆、施設に移送されたという。その一方でミンニハノフ大統領は、子どもたちの数は27人だったと証言している宗教グループのメンバーもいることも明らかにした。

 警察が報道関係者に公開したモスク摘発時の映像には、ひげをはやした男性が警官らに向かって叫ぶ様子や、スカーフをかぶった女性たちが子どもや赤ん坊を抱いて地下室から上がってくる様子がとらえられている。

 内務省の発表によると、1964年から預言者を名乗っているサタロフ容疑者は、1996年に土地を取得してイスラム教の学校を設立。同敷地内に生活区域も設け、徐々にグループのメンバーが移り住むようになったという。

 警察は、集合生活体におけるサタロフ容疑者の裁量を問う刑事事件として取り調べを開始した。有罪が確定すれば最高刑は禁錮6月。さらに、子どもたちに対する育児放棄や過酷な待遇を強いた疑いで同グループメンバーらに対する取り調べも開始した。こちらの場合、有罪となった場合の最高刑は禁錮3年となる。

 類似事件としては、2007年にモスクワ(Moscow)から南東にある地下の洞穴に、終末論を信じる宗教グループのメンバー35人が潜伏していたものがあった。(c)AFP/Anna Malpas