【8月6日 AFP】かつてはSFの中だけに存在した「ロボット」だが、時代と共に高度化するロボット機器は、今や現実世界で人間と共存する場を獲得しつつある。

 イタリア、ピサ(Pisa)の聖アンナ(Sant'Anna)大学院大学では、人間の脳で制御するバイオニックアームといった数多くの先進的なロボットプロジェクトが進んでいる。

「ここではイノベーションが可能だ。プロジェクトを持っている人なら援助を受けることができ、アイデアが拒否されることはない。個人に対して投資が行われている」と、バイオ・ロボティクス研究所のMaria Chiara Carrozza氏は語る。

■R2-D2のようなごみ収集ロボット

 同研究所の新型ロボットは、映画『スター・ウォーズ(Star Wars)』シリーズに登場したR2-D2の様な形状で、レーザースキャナーと位置センサーを搭載し、電話帳のデータを用いて所定の時間に各世帯を訪れ、玄関先からごみを収集してまわるという。

 プロジェクトを主導するPericle Salvini氏は、「近くの町で15世帯を対象に2か月間の試験を行った。試験は全て成功に終わったが、解決しなければならない問題も少し残っている」と述べる。

「安全確保のために移動がゆっくりなのだが、そのために交通を妨害してしまうことがあった。また、この種のロボットが事故を起こしたときのための保険がないので、合法に路上を移動することは認められていない」

■脳で制御のバイオニックアーム、災害時に活用の「身体拡張機器」

 同研究所のMarco Controzzi氏は、肌に取り付けた電極や脳に埋め込んだ電極で、「意図した動作だけ」を行うバイオニックアームを開発している。駆動には携帯電話用バッテリー2本があれば十分だという。

 また、同研究所では100万ユーロ(約9700万円)の資金を投じて外骨格、あるいは「身体拡張機器」のロボット試作機も開発されている。機器の重さは160キログラムあるが、装着者の腕力を20倍にする性能を持ち、「地震などの災害時に救急隊員が使用するというアイデアだ」と開発者のマルコ・フォンタナ(Marco Fontana)氏は説明した。

 バイオ・ロボティクス研究所のパオロ・ダリオ(Paolo Dario)所長は、「市民のためのロボットの仲間(The Robot Companions for Citizens)」と題されたプロジェクトを率いており、現在、欧州連合(EU)による10億ユーロ(約970億円)の研究費を獲得しようと、他の5つのプロジェクトと競い合っているという。(c)AFP/Ljubomir Milasin