【7月30日 AFP】ヘビは水中ではなく陸上でその独特な体に進化し、地面に掘った穴の中で生息していたトカゲの子孫である可能性が高いことが、7000万年前のヘビの化石標本を分析した米研究チームの研究で明らかになった。

 米国の生物学者らからなる研究チームは、「Coniophis」という生物の顎や歯、脊椎のかけらを詳しく分析した。結果、この生物は最も原始的なヘビであり、トカゲからヘビへの進化の過程のカギを握る「ミッシング・リンク」であるとの結論に至ったという。

 Coniophisはヘビのような長く伸びた胴体と鉤(かぎ)状の歯、そしてトカゲに似た頭部を持っており、トカゲとヘビの中間に位置する生物とみられている。地面に穴を掘る習性があったと思われることから、陸生のトカゲから進化した可能性が高いという。

 軟らかい体をした中型動物を餌にしていたとみられているが、現代のヘビのように自分の体の何倍もの大きさの獲物を丸のみすることができる柔軟な顎は持っていなかった。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文の共同執筆者、米エール大学(Yale University)のニコラス・ロングリッチ(Nicholas Longrich)氏によれば、Coniophisの体には恐らく小さな脚が付いていたが、見た目はトカゲよりヘビに近かっただろうという。

 長い体をくねらせて移動するようになったヘビの進化過程をめぐっては、地中での穴掘りに適応したとする説と、水中を泳ぐことに適応したとする説が科学者の間で昔から議論されてきた。

 今回の論文によれば、長い間結論が出されなかった要因の1つは、過渡期の化石が不足していたことにあるという。ロングリッチ氏によれば、Coniophisの化石は1890年代に米モンタナ(Montana)州で最初に発掘され、1950年代にも新たな化石のかけらが発見されたが、これまで詳細な分析をされることはほとんど無く、博物館の片隅でほこりをかぶっていたという。(c)AFP