【7月25日 AFP】誰であろうと、どれほど貧しくとも、世界トップクラスの大学の講義が無料で受けられるオンライン講座「コーセラ(Coursera)」。米スタンフォード大学(Stanford University)の研究者2人が立ち上げたこの「夢」に前週、新たに世界の一流大学12校が参加を表明した。

 「コーセラ」は、スタンフォード大のダフニ・コラー(Daphne Koller)教授とアンドリュー・ング(Andrew Ng)准教授が今年2月に立ち上げたプログラムだ。コラー教授は、こう説明する。「世界中の学生たちが、住む国や家庭環境、経済的事情を問わず最高の教育を受けられ、自分の考えを広げたり価値の高いスキルを学んだりできる場所、というのが私たちのビジョンだ。そこでは教育は特権ではなく、権利になる」

 これまでスタンフォード大やプリンストン大学(Priceton University)など米大4校の講義を提供してきたが、ここに前週、米デューク大学(Duke University)やスイス連邦工科大学ローザンヌ校(Ecole Polytechnique Federale de LausanneEPFL)、英エディンバラ大学(University of Edinburgh)など世界12大学が加わることが発表された。

■学術機関がオンライン講義に続々進出

 教育のプラットホームとしてインターネットを活用する学術機関が今、増えている。

 たとえば、米マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of TechnologyMIT)卒業生のサルマン・カーン(Salman Khan)氏が立ち上げた「カーンアカデミー(Khan Academy)」では、数千本の講義動画を提供している。また、米人気講演会TEDカンファレンスの運営団体も先だって、教育者たちとアニメーターが教育用ビデオを共同制作する「TED-Ed」チャンネルを動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」に設立した。

 5月には、米ハーバード大学(Harvard University)とMITがオンライン教育プログラムを拡充で協力し、共同事業「edX」を立ち上げることを発表。他の教育・研究機関の参加を呼びかけている。

「大学機関もオンラインが一時的な流行ではないことに気が付いた。参入するかどうかはもはや検討事項ではなく、いかに参入するかが課題になっている」とコラー教授は指摘する。

■毎週の課題、履修証明も―コーセラは「リアルな教室」

 中でも「コーセラ」が特徴的なのは、提供される講義が原則として実際の教室で行われている授業と同じだという点だ。

 受講は無料だが、学生は大学のキャンパスに通っているのと同様に履修登録し、毎週課題が出て、評価付きで採点される。コース修了時には、就職や進学に通用する履修証明書も発行される。講義は動画が基本ながら、講義ノートなどは静止画で見ることができる。

 (不特定多数に業務委託する)クラウドソーシングで教材の翻訳を行い、2月からこれまでに既に世界190か国の学生が受講したという。20日現在の受講者数は74万人。多言語化が進み、講義数もますます充実する中、学生数はさらに増える見込みだ。(c)AFP/Glenn Chapman