【7月10日 Relaxnews】パリ(Paris)の有名高級ホテル「リッツホテル(Ritz Hotel)」が2年間の大規模改装計画のため、7月31日で休業する。2014年に改装オープン予定で、改装費用は2億ユーロ(約200億円)。5つ星に格付けされる同ホテルは、2011年に新たに設けられた最高級の格付け「パレス」を逃していた。

 今のうちに泊まっておきたい人は、7月31日までなら一晩800ユーロ(約7万8000円)で最後の宿泊をすることができる。同ホテル内の有名ホテル「レスパドン(L'Espadon)」最後のディナーも31日に提供される予定だ。

 リッツは1889年にスイスのホテル経営者セザール・リッツ(Cesar Ritz)がオープンした。18世紀に建てられた大邸宅を利用した設計で、最後の改装工事が行われたのは1979年。2億5000万ユーロがつぎこまれ、名高いオリンピックプールが増築された。

 今回は、客室やスイートルーム、スパ、レストラン、リッツ・エスコフィエ(Ritz Escoffier)料理学校などの改装が行われる予定。世界的に評価の高いインテリアデザイナーThierry W. Despont氏がディレクションを務める。

 パリの高級ホテルは、中東や中国、ロシアの大富豪を呼び込むため競争が激化している。ル・ロワイヤル・モンソー(Le Royal Monceau)やル・ブリストル(Le Bristol)などの有名ホテルも顧客の期待に応えるために大規模な修繕などを実施し、シャングリ・ラ(Shangri-La、2010年オープン)やマンダリン・オリエンタル(Mandarin Oriental、2011年オープン)などの高級ホテルが次々とオープンしている。リッツホテルの広報担当者によれば、これらホテルの顧客の大半は、ロシアと中東からの顧客だという。

 2011年にフランス政府観光局が新たに設定した「パレス」の格付けが与えられたホテルは、パリ市内はわずか3件だった。パレスの格付けを得るためには、ホテルが歴史的建造物にあり、卓越した建築と装飾を備え、最高水準のサービスとインフラを提供し、仏高級レストランガイド「ミシュラン(Michelin)」で星を獲得したレストランがホテル内にあり、客室1室あたり2.75人以上の従業員を抱えている必要がある。

 文豪アーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway)の名を冠した「ヘミングウェイ・バー(Hemingway bar)」は改装を前にすでに休業している。休業の際には世界の富豪やパリの常連たちから「何も変えないで欲しい」と不安の声が上がったが、リッツホテル広報担当者は、「パリの高級ホテルというリッツの精神を守る」と述べ、改装によってバーのスタイルが大きく変わってしまうことはないと約束した。(c)Relaxnews/AFPBB News