【7月5日 AFP】米フロリダ(Florida)州マイアミ(Miami)の海岸で、溺れていた男性を救助したライフセーバーが、担当区域外で救助行為を行ったとして解雇された。地元メディアが4日、報じた。

 報道によるとライフセーバーのトーマス・ロペス(Tomas Lopez)さん(21)は2日午後、マイアミ北部のハランデール・ビーチ(Hallandale Beach)で任務中に海水浴客から溺れている男性がいるとの通報を受け、救助に向かった。そのときの状況についてロペスさんは、「(現場まで)かなりの距離を走ったが、助けを必要としている人がいるのにノーとは言えないよ」と語っている。

 救助された男性は直ちに病院に搬送され、現在も集中治療室で手当てを受けているという。

 ところが、この件の報告書を提出したロペスさんは、救助を行った現場が担当区域から450メートル外だったことを理由に解雇を言い渡されてしまった。雇用主は解雇通告の際、「すまないが規則は規則だから」と申し訳なさそうに説明したというが、「耳を疑ったね」とロペスさん。

 一方、ハランデール・ビーチへのライフセーバー派遣を請け負うこの会社は、「法的責任の問題があるので指定区域外での業務はできない」と主張し、ロペスさんも規則は知っていたはずだと強調している。

 こうして時給8.25ドル(約660円)の仕事を失ってしまったロペスさんだが、もしもまた同じ状況に出くわしたら、同じように行動するだろうと話している。「良心に基づいてしたことだ。自分の倫理感を犠牲にするような仕事は、もう選ばない」 (c)AFP