【7月3日 AFP】米グーグル(Google)は2日、仙台で開かれた自然災害とIT活用に関する国際会議「ビッグテント(Big Tent)」で、災害発生時に市民がインターネットを有効に活用して対応できるよう、各国政府に情報公開をもっと行うよう要請した。

 グーグルのレイチェル・ウェットストーン(Rachel Whetstone)上級副社長(広報担当)は、情報公開に消極的な国も一部あると述べ、そのことが市民が必要とする新たなサービスを、市民社会が生み出す障害になっていると語った。

 2005年の米国のハリケーン・カトリーナ(Hurricane Katrina)以降、グーグルは災害対応を強化してきた。東日本大震災の際にも行方不明者の安否確認サイト「Person Finder」を提供した他、震災以前と以後の様子を比較した写真を公開するなど、被災地の様子を積極的に地図化する取り組みも行った。

 グーグルのブライアン・マックレンドン(Brian McClendon)上級副社長(テクノロジー担当)は、被災地の情報を政府から入手することは世界のどの国でも難しいことだと指摘。「カトリーナで直面した課題は今も変わっていない。それはオープンデータであり、そうした情報を入手して他のデータと照合できるようにすることだ。これこそが大きな違いをもたらす」と語った。

■自然災害時の情報のあり方模索

 また、仮に誤った情報が広まる危険性があるとしても、それでもなおインターネットに自由に情報が流れ続けることが重要であると、会議に出席した専門家らは強調した。

 一方で、国連事務総長特別代表(防災部門)のマルガレータ・ワルストロム(Margareta Wahlstrom)氏は、災害時にITの恩恵を最大限に活かすためには、情報の受け手に対する教育も不可欠だと指摘。「その情報をいかに使うか、指先に表示される知識をもとに何をすればよいのか、個人や組織から自治体までを含むユーザーたちに対して教えなければならないことはとても多い」と語った。

 また、会議に参加した米ツイッター(Twitter)の日本法人代表、近藤正晃ジェームス(Masaakira James Kondo)氏は、災害時の情報公開についての新たなガイドライン策定に向けて、日本政府に協力していると述べた。(c)AFP/Hiroshi Hiyama